生成AIの活用が急速に進む中、大手企業のマーケティング組織がどのような体制を目指しているのか。株式会社メンバーズが実施した「マーケティング業務と組織に関する調査」(対象:従業員1,000名以上の企業のマーケティング関与者303名)から、AI時代の新たな組織モデルが浮き彫りになった。
AI活用の最優先課題は「効率化」から「ノウハウの資産化」へシフト

調査結果で最も注目すべき点は、生成AI活用の優先度の多様化だ。従来は「業務効率化」が最優先と考えられていたが、今回の調査では以下の結果が得られた。
- 業務効率化(64.7%)が依然トップだが、次点として「ノウハウや知識の形式知化・蓄積(51.2%)」が挙がった
- さらに「AIと委託を組み合わせた体制スリム化(37.3%)」「人材の上流業務へのシフト(32.0%)」が続く
つまり、単なる業務自動化ツールとしてではなく、AIを組織の暗黙知を形式知へ変える手段として期待する企業が急増しているということだ。これは、AI導入の成熟段階を示唆している。
内製率は業務分野で大きく異なる実態
マーケティング業務の内製状況を見ると、戦略・企画と実行・運用で顕著な差が出ている。
- 全体の79.2%が何らかの内製を取り入れており、50.5%が「内製主導」と回答
- 戦略企画系業務の内製率は平均68.5%(ビジネスゴール定義が82.5%、価格設計が71.9%)
- 実行運用系業務の内製率は平均35.8%(Web広告運用16.2%、Webサイト制作・改善17.8%)
戦略・上流工程では自社で判断を下す傾向が強い一方で、実装・運用は外部パートナーに委託する企業が大多数だ。
目指す未来像は「完全内製化」ではなく「セミインハウス」
最も興味深い結果は、理想のマーケティング体制に関する質問だ。
- 完全内製化を希望する企業はわずか10.9%
- 88.8%が「外部リソースとの併用」を望む
これは、専門性の高度化により全業務を内製することが現実的ではないという認識を示している。
しかし課題も明らかになった。「データ・テクノロジー基盤」の外注では、成果物の品質は安定(31.5%)しているものの、プロセスの把握(30.2%)やノウハウ蓄積(32.8%)が進んでいない。さらにベンダー依存度も高く、切り替えを検討可能な企業は22.0%にとどまる。
メンバーズは、この状況を踏まえ「セミインハウス」体制への転換を提唱。外部パートナーを「暗黙知を資産へ昇華させる伴走者」として位置づけ、自社主導権を保ちながら外部の専門性を活かすモデルが、生成AI時代の最適解だと指摘している。
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