バター製造に伴う余剰脱脂粉乳の深刻な在庫問題を、素材の付加価値化で解決するスタートアップが注目を集めている。Re Design株式会社(大阪市)は、脱脂粉乳をアップサイクルした次世代機能油脂「Re:Butter(リ・バター)」を2026年7月より販売開始する。公的機関による実証で天然バターと同等の物性を保ちながら、調達コストを従来比20~30%削減できるとしており、製菓・製パン・業務用油脂メーカー向けB2B製品として展開する。
積み上がる脱脂粉乳在庫、業界全体に155億円の負担

バター1kg製造には約23kgの生乳が必要となり、乳脂肪分を抽出した後に残る脱脂粉乳が国内で大量に積み上がるという構造的課題がある。一般社団法人Jミルクと農林水産省の2026年度需給見通しでは、脱脂粉乳の期末在庫が8万3300トン(前年比19.8%増)に達する見通しだ。Jミルク自身も「現状の傾向が続けば在庫量は次年度以降もさらに増加する」と警告している。
この問題は業界全体に深刻な金銭負担を強いている。Jミルクは2025年度から「酪農乳業需給変動対策特別事業」を新設し、国内全ての酪農家と乳業メーカーから生乳1kgあたり各15銭の拠出を義務化。2031年度までの7年間で155億円の基金造成を目指しており、単年度では約22億円が飼料転用や輸出といった「余剰処理」に費やされている。
アップサイクル率74%、既存設備での導入が可能
「Re:Butter」は、この余剰脱脂粉乳を「処理するコスト」から「高付加価値な製品の原料」へと転換。独自配合(特許出願済)により、アップサイクル率74%を実現した。同製品の消費量が増えるほど国内の在庫問題が緩和されるという、需要側からの構造的解決モデルを構築している。本製品を選択することが、日本の酪農サプライチェーンの維持・支援に直結するという訴求である。
製品は製パン・製菓・業務用での実用性を最優先に開発された。公的機関が実証した「天然バターと同等の物性」により、既存の製造設備やレシピを大幅に変更することなく導入が可能だ。
栄養成分では、バター比でカロリー約18%カット(610kcal/100g)、脂質約26%削減(60.0g/100g)、タンパク質約6倍(3.8g/100g)、食塩相当量約66%削減(0.64g/100g)を実現。トランス脂肪酸ゼロ、添加物無添加(クリーンラベル対応)で、現代の健康志向や安全ニーズに応える設計となっている。
業界共創で「Circular Design」構想を推進
Re Design株式会社は「Re:Butter」の販売を起点に、製菓・製パン業界との共創パートナーシップを拡大していく方針。余剰脱脂粉乳の新たな需要創出を軸に、日本の酪農サプライチェーン全体の再設計を目指す「Circular Design(デザインによる循環)」構想を推進する。将来的には、脱脂粉乳以外の余剰乳原料や副産物にも独自の応用技術を拡大し、食の未利用資源を付加価値商品へ転換する持続可能な事業モデルの確立を目指すとしている。
販売開始は2026年7月より順次供給開始予定で、全国の製菓・製パン企業、ホテル・レストランチェーン等が対象。サンプル請求は公式サイト内特設ページより受け付けている。
詳細は以下よりご確認ください。
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