東京科学大学発の核酸医薬品ベンチャー・ANRisが、早稲田大学ベンチャーズと国立研究開発法人科学技術振興機構(JST)から総額約2億2,000万円の資金調達を実施した。独自のsiRNA配列設計技術「SNPD-siRNA」を基盤として、KRAS変異がんの治療薬開発と事業基盤強化を加速させる。
既存siRNA創薬の課題を解決する技術

siRNA医薬品は、細胞のRNA干渉メカニズムを利用して特定遺伝子の発現を抑制する治療法として、世界的に注目されている。しかし既存のsiRNA技術には大きな課題があった。
がんや遺伝性疾患の多くは、遺伝子の一塩基のみが異なる一塩基変異(SNV)に起因する。既存技術では、病気の原因となる「変異型遺伝子」と、正常機能に必要な「野生型遺伝子」のわずか一塩基の違いを識別し、変異型のみを選択的に抑制することが困難だった。これにより、siRNA創薬の対象外とされてきた疾患が存在していた。
ANrisの「SNPD-siRNA(Single Nucleotide Polymorphism-Distinguishable siRNA)」は、この一塩基の違いを正確に識別し、変異型遺伝子の発現のみを選択的に抑制する独自技術。東京科学大学特任教授・程久美子による研究成果を基盤として、2023年の設立当初から継承されている。JSTの「大学発新産業創出プログラム(START)」の研究開発成果も活用されており、基盤特許は日本・米国両国で取得済みだ。
KRAS変異がんを重点領域に
ANRisが今後の重点開発領域として設定するのは「KRAS変異がん」である。KRAS遺伝子の変異は、肺がん、膵がん、大腸がんなどで認められる代表的なガン関連遺伝子変異であり、治療法が限定的な領域として知られている。同社はSNPD-siRNAを用いて変異型KRASの発現を選択的に抑制することで、新たな治療選択肢の創出を目指す。
今回調達した資金の主な用途は以下の通り。
- KRAS変異がんを対象とする医薬品候補の創製および非臨床研究
- siRNAを標的組織へ届ける送達技術(DDS)および製剤の最適化
- 研究開発人材の採用と外部研究機関・CROとの連携強化
- 知的財産基盤の強化と製薬企業との共同研究・事業提携推進
代表取締役CEO・川村渉は「SNPD-siRNAの適用可能性を広げ、新たな治療選択肢の創出につなげられるよう取り組む」とコメント。早稲田大学ベンチャーズはディープテック分野の創業投資に特化したVCとして支援する姿勢を示している。
詳細は以下よりご確認ください。
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000001.000190113.html
