東陽テクニカが、量子コンピューティング人材育成の支援対象を拡大する。2026年6月から、日本量子コンピューティング協会が実施する「量子エンジニア講座」の検定受験料を学生と教員向けに全額補助することを決定した。これまでビジネス活用人材向けの「量子ジェネラリスト講座」のみが支援対象だったが、技術開発者向けの講座も追加されることで、より包括的な人材育成体制が整う。
3つの検定すべてが支援対象に 段階的な学習環境を実現

東陽テクニカの支援対象は以下の通り拡大される。
- 「量子ジェネラリスト講座」(既存)
- 「量子エンジニア(ゲート式)講座」(2026年6月から追加)
- 「量子エンジニア(アニーリング式)講座」(2026年6月から追加)
受験料は学生5,000円、一般9,800円。東陽テクニカが全額負担する。支援期間は2026年6月の検定から2028年12月までで、毎年先着200名が対象となる(1名あたり2回まで申し込み可能)。
この拡充により、学生は基礎的なビジネス知識から専門的な技術スキルまで、段階的に学習を進める環境が整備される。量子技術の実装段階において、異なるレベルの人材育成を支援することで、産業全体の人材不足解消に貢献する狙いがある。
東陽テクニカの量子ソリューション事業戦略
東陽テクニカは2025年7月、フィンランドのIQM Quantum Computersと量子コンピューターの国内販売代理店契約を締結。2026年4月には同社製の「IQM Radiance」を自社導入することを決定し、2026年末の納品を予定している。
人材育成面では、日本量子コンピューティング協会の検定受験費用支援に加え、2026年4月にはスイスのQZabre AGと販売代理店契約を締結し、量子教育キット「Quantum Edukit」の発売を開始。さらに2026年2月には、英国のRaptor Photonicsとも契約を結び、量子センシング分野を拡充している。
同社は今後、検定合格者に対して量子コンピューターの実機を使用する機会の提供も検討している。学習成果をビジネスへ直結させるエコシステム構築により、量子技術の社会実装を加速させる戦略だ。
国内唯一の量子関連資格、ビジネス機会に直結
日本量子コンピューティング協会の検定は、第三者機関による国内唯一の量子関連資格として認識されている。2024年9月の開始以来、約340名が受験済みで、2026年末までに累計1,000名の受験を目指している。
検定合格者には、同協会を通じて量子関連企業からの仕事紹介も行われるなど、学習をキャリア機会に変える仕組みが既に機能している。東陽テクニカの支援拡大により、より多くの学生がこうした機会へのアクセスが可能となる。
量子コンピューティングは材料開発、自動運転、創薬、防衛など広範な産業で活用が進む。人材育成への先行投資は、今後の競争力確保に直結する施策だ。
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